みどりのリビングラボ 『思わずマナーが良くなる喫煙所!?街に溶け込んでいるのに、注目を集める場所とは?』 2023年1月25日2023年1月25日 midorism まちづくり、公共空間利活用、賑わいづくり 『思わずマナーが良くなる喫煙所!?街に溶け込んでいるのに、注目を集める場所とは?』 様々な実証実験を行なっている『うめきた外庭SQUARE』ですが、この度、こんな斬新なものを作ってしまいました!!これ、何だと思いますか? タイトルに「喫煙所」と書いてはありますが…え?これが喫煙所?と思った方も少なくないと思います。なおかつ「思わずマナーが良くなる」って、どういうこと?疑問だらけになりますよね?そして『光学迷彩型喫煙所』と言う名前を聞いたら…ますます「?」が浮かびまくっている事と思います。でも、皆さんの疑問をよそに、この喫煙所、めちゃくちゃ凄いんです!突然ですが!普通のゴミ箱とバスケットゴールが付いているゴミ箱。あなたなら、どちらに捨てますか? (写真提供:松村真宏) 不思議とバスケットゴールを見ると、ついつい何か投げ入れたくなるのが人間の習性のようです。バスケットゴール付きのゴミ箱と普通のゴミ箱を並べて行った実験では、バスケットゴール付きのゴミ箱に1.6倍の人がゴミを捨てた、そんな結果が出ています。男性用トイレの便器に“的(まと)”のシールを貼ると、ほとんどの人が“的(まと)”に当てるように用を足すそうです。そこで、一番飛び散らないポイントに“的(まと)”のシールを貼ると…「トイレを綺麗に使いましょう」と言わなくてもトイレが綺麗になる、そんな実験結果もあるんです。“行動変化を強制する”のではなく、魅力的な行動の選択肢を増やす、つまり“仕掛ける”ことで目的の行動に誘うアプローチをとる。そんな『仕掛け』ることを学問と捉え研究している人がいます。大阪大学大学院 経済学研究科の松村真宏教授です。学問の名前は、ズバリ『仕掛学』。 これまでにも『外庭SQUARE』で色々な進化系喫煙所を作り実証実験して来たJTは、なんとか喫煙所でのマナーを良く出来ないかと考えていました。そんな折、人の行動を変える「仕掛け」人である松村教授に、喫煙のマナー向上に繋がる新しいアイデアはないかと相談したそうです。その結果誕生したのが、ミラー効果を用いた『光学迷彩型喫煙所』。ピカピカに磨き上げられた50本のステンレスミラーは周囲の様子を映します。そうやって街の景観に溶け込みつつ、光の反射角度が予想外な光を放つので、通りすがりの人は不思議な感覚に襲われ、この喫煙所をつい見てしまうのです。 ミラーは街の様子とともに喫煙所でタバコを吸う人の姿も映し込みます。誰も居ないところでゴミをポイ捨てしようとして、急に現れた人と目があって、思わずゴミを自分のポケットに入れてしまった、そんな経験はありませんか?人は、誰かに見られていると行動が変わる時があります。ミラーに映った自分の姿、そして通りすがりの人の目を意識すると…あ、マナーをちゃんと守らなくちゃ、と思うのです。「マナーを守りましょう」と言わなくても、自分や他人の目に晒されることで、自然とマナーが向上することを狙った、まさに『仕掛学』の効果です。とは言え、大阪大学大学院の松村教授は話します。「マナーの向上はもちろんですが、喫煙所のイメージもアップしたいんです。キラキラ輝いて綺麗ですし目立ちます。中に入って頂けたら分かりますが、アロマの良い香りがしています。皆さんが振り向いてくれることでランドマークのような存在になれたら嬉しいです。」自然とマナーが良くなる上に、喫煙所のイメージも良くなってランドマーク的存在に。タバコを吸う人は胸を張って喫煙を楽しみ、街には新しい綺麗なランドマークが出来る。皆が共生する新しい未来の街は、すぐそこまでやって来ているのかもしれません。